山田、万感の銅 4大会12年で初のメダル
競泳男子50メートル自由形(運動機能障害S9)で山田拓朗(NTTドコモ)が銅メダルを獲得。アテネ大会の時、日本代表史上最年少の13歳で出場した"パラリンピックの申し子"にとって、4大会目での初メダルに「12年の重みが詰まっている。ようやく1つ形として結果を残せて良かった」と満面の笑みを見せた。
山田は左肘先がないため、両手を頭上でトライアングル状に重ねるストリームラインが組みづらく、水の抵抗を受けてしまう。昨年の世界選手権では、スタートからの浮き上がりで先頭に体1つ置いて行かれた。
今回も予選ではロンドン大会で記録した日本新を0秒02上回る26秒20を出しながらも「スタートは失敗した」。そこでトレーナーに「力を発揮できる状態にしてもらった」おかげで、決勝では浮き上がり時点で上位につける。
ここから右手でかき始め、息継ぎは1回だけのワンブレスで勝負し、英国、オーストラリアの選手に続いて右手でタッチ。スタート台の下のランプが光って3位以内に入ったことを知ると、右手で水面をたたいて喜びを爆発させた。
だが掲示板でタイムを確認すると26秒00。大幅な日本記録更新だったが、目標としていた25秒台に届かず、かつ2位とは0秒01、1位とも0秒05の僅差だった。「徐々に悔しさがこみ上げてきた」という。
山田は「つめの甘さがある。まだまだ課題があるので、4年後に向けてがんばりたい」。早くも東京での金メダルを見据えていた。
(摂待卓)