柔道・藤本、弱点克服し銅 磨いた寝技 何度も
柔道男子66キロ級の藤本聡(徳島県立徳島視覚支援学校職)は、アトランタからアテネまでパラリンピック3連覇の偉業をなし遂げた柔道家だ。だが今回の銅メダルという結果にも「最低限の結果は残せたのでほっとしています」。ロンドン大会出場を逃すなど、ここ数年は苦難の連続だったからだ。
両手首には「Z」字の手術痕が残る。北京大会前に痛め、大会後に3回手術した。今でも痛み止めを打たないと、試合には臨めない。そこで取り組んだのが、寝技の強化。「(背負い投げなど)自分のストロングポイントよりも、弱点を伸ばす方が早いですから」
1年前から寝技中心の柔術の道場に通い始めた成果が出たのが2回戦。ともえ投げを何度もしかけながら寝技を狙い、最後は足技で崩し、ひじを固めて一本勝ち。
ただ、準決勝のアゼルバイジャン選手との試合では、小外刈りで倒されてから左ひじを決められた。2回戦と映し鏡のような結果に、「相手の寝技は桁違いだった。まだまだ修行が足りない」。
それでも気持ちを切り替えて臨んだ3位決定戦。投げ技からの寝技をしつこく狙いにいき、腰の引けたリトアニア選手から指導3つを奪っての優勢勝ちだ。
41歳だが、東京大会を目指すことを公言している。「体力はいま一番強い。技術的にはなんぼでも強くなる。課題を一個一個克服しながら、最後は気持ちよく引退したい」。目標はもちろん、東京での4つ目の金メダルだ。
(摂待卓)