メルカリ経済圏膨張 ブランド品特化の姉妹アプリ投入
フリマアプリ最大手のメルカリ(東京・港)は21日、ブランド品の個人間売買を仲介する新しい専用アプリの配信を始めた。現在のアプリを使っている利用者が、同じIDで手軽にブランド品を売買できる。今後はメルカリのIDをサービスに利用する他社も募る。高いシェアを握る同社が社内外に事業を広げることで、「メルカリ経済圏」がさらに拡大しそうだ。
新規事業の子会社ソウゾウ(同)がアプリ「メルカリ メゾンズ」の配信を始めた。バッグや財布といったブランド品の売買を仲介する。
ブランド品を売る人はまずスマートフォン(スマホ)のカメラで商品を撮影する。スマホの画面に出てくる枠におさまるように撮影すると、ブランド名や商品名、模様などの候補が表示され、出品の情報入力にかける手間を減らせる。相場と照らし合わせ、売れやすそうな価格もわかる。
出品したブランド品は、メルカリの従来のアプリからも見られる。メルカリのアプリのダウンロードは国内で5000万を超えており、売り手は多くのユーザーから買い手を探せる。
メルカリは通常のアプリ以外に、利用目的に応じた姉妹版の専用アプリを増やしており、今回が3つ目。近くに住む人が物や情報をやり取りするアプリや、書籍やCD・DVDに特化したアプリを提供してきた。同じIDで利用でき、アプリの種類を増やすことが利用者拡大につながっている。
今後はIDを軸に他社との連携も深める。例えば、フリマを手がける他のネット企業のサービスを、消費者がメルカリのIDで利用できるようにすることを検討する。
IDには商品の配送先の住所や決済手段から、サービス内で他のユーザーから受けた評価まで豊富な情報が含まれる。他社は、モノを売る側と買う側の双方で多くのユーザーを持つメルカリと連携すれば、売買の活性化でメリットが見込める。
ソウゾウの松本龍祐社長は「(フリマなどの事業は)領域が広く1社ではカバーできない。出資やIDの活用で連携を進めたい」と話す。メルカリが自社サービスの拡充と同時に社外との連携を広げれば、消費者のメルカリへの集中が加速し、集客力を伸ばせないサービスとの差が広がる可能性がある。