炊かずに食べられる アルファ化米粉 海外展開
山形大学は水を加えるだけで炊かなくてもおかゆ状になりそのまま食べられる、アルファ化米粉の海外展開を始める。今年4月、タイのプリンス・オブ・ソンクラ大学と交流協定を結んだのを受け、タイ米を使ったアルファ化米粉の共同開発を始めた。海外企業と連携した商品開発も視野に、世界展開をめざす。
開発者の西岡昭博教授によると、アルファ化米粉はパン生地に使え小麦アレルギー対策になるほか、介護食や離乳食にもなる。モチモチした新食感食品のほか、消化スピードをコントロールできるため機能性食品や家畜のエサとしても使える可能性があり、コメの消費拡大にもつながる。
従来製法ではコメを炊いてすりつぶした後、水分を抜く必要がありコストが高くなった。現状では災害時の備蓄食など特殊用途向けしか普及していない。
山形大はプラスチック成型加工技術を応用し、加熱した臼で米粒を粉砕するだけで製造する方法を開発。炊飯の必要もないため、低コスト生産を可能にしている。粉体機器メーカーのセイシン企業(東京・渋谷)が製造機器と米粉を発売している。将来はパン屋や家庭でも利用できる小型装置の開発もめざす。
タイの大学とはすでに、ジャポニカ米(短粒種)を使ったライスケーキやライスクラッカーを共同開発。今後、アジアで普及しているインディカ米(長粒種)を使った食品開発を進める。