ミャンマー、広告収入で郵便ポスト刷新 日本企業と
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー郵便は日本企業と組み、看板広告付きの郵便ポストを導入する。まず三大都市のヤンゴン、ネピドー、マンダレーに計250基を設置する。郵便ポストの設置や保守作業にかかる費用を全て広告収入で賄うもので、世界的にも珍しい取り組みだ。
運営を担うのは日本で看板広告を手掛ける長田広告(愛知県津島市)。1基の設置費は約60万円で、月額制の広告収入により5年間で費用を回収する。長田広告はマンダレーやバガン遺跡の観光地で、看板広告付きのゴミ箱や地図案内板を1000カ所以上に設置している。
新しい郵便ポストの設計は日本のポストを参考にした。入れ口にゴミなどの異物を除去する仕組みを設けているほか、豪雨でも内部に水が入らない構造にした。既に100カ所以上で設置を終えており、富士ゼロックスが第1号の広告主となった。「今後は全国1000基を目指したい」(長田広告)と意気込む。
今回の事業は、日本政府による郵便分野での国際協力の一環。総務省が民間企業から事業案を募集し、ミャンマー側に仲介した。
市民の間には国営郵便への不信感が根強く残っており、人目につく郵便ポストの刷新は改革のアピールになるとの期待もある。
総務省は日本郵便と組み、郵便分野の国際協力を強化している。ミャンマーは第1号案件。昨年からは日本郵便の職員をミャンマー郵便に派遣し、顧客サービスや物流効率の改善を支援する。
ミャンマーには約1400カ所の郵便局があり「郵便局網を活用すれば生活に密着したサービスが可能」(樋口建史・駐ミャンマー大使)。新たな収益源となるサービスの確立など民間との連携も後押しする。