無精子症に関与する遺伝子特定 中部大
不妊症の原因の一つである無精子症に関わっている遺伝子を、中部大(愛知県春日井市)と近畿大、九州大の研究グループがマウスを使った実験で特定し、米科学誌電子版に18日発表した。
中部大の上田潤助教(生殖生物学)は「謎だった無精子症の原因解明の糸口をつかんだ。メカニズムの全体像を明らかにし、治療法確立につなげたい」と話している。
研究グループは、精巣だけに存在する「H3t遺伝子」をなくしたマウスを遺伝子操作で作製。精巣を調べたところ、精子のもとになる精子幹細胞は複製されるものの、精子はできず、H3t遺伝子が無精子症に関係していると確認した。
同様の遺伝子が人に存在することは20年以上前から知られていたが、どんな機能があるかは不明だった。マウスがH3t遺伝子を持っていることが2015年に分かり、実験で機能の特定が可能になった。
研究グループによると、日本では5.5組に1組の割合で不妊の検査や治療の経験があり、その半分が男性側に原因があるとされている。〔共同〕