自動運転、珠洲の公道試験公開 「手動と変わらず」驚き
金沢大学の菅沼直樹准教授や北陸総合通信局などは15日、石川県珠洲市で昨年から実施している自動運転車の公道走行試験を公開した。試乗した企業の経営者ら約40人からは「手動の運転と変わらない」といった驚きの声が上がったが、実用化には課題も残る。今後は誤作動につながる雨や雪への対応を進めることなどで2020年の実用化を目指す。
公開試験では珠洲市役所を出発し、街中を1~2キロ走行した。車には約20個のセンサーを搭載。自動運転モードに切り替えれば、対向車や歩行者、信号など周囲の状況に合わせて停止したり走り出したりして、目的地まで自動でたどり着く。
津田駒工業の菱沼捷二会長は試乗の感想として「運転が安定しており実用化は近いと感じた」と発言。スギノマシン(富山県魚津市)の杉野太加良社長も「(信号がなく横断者もいない)立山黒部アルペンルートなら観光タクシーとしてすぐ運行できる」と語った。
ただ、実用化には課題も残る。雨でできた水たまりを対向車がはねるとセンサーが障害物と判断して回避しようとするほか、雪が積もると車線を認識できず走行できなくなるといった点だ。
珠洲市での公道走行試験は17年度まで実施される。今後はさらに周囲の認識能力などを高めて課題を克服。「20年には過疎地における公共交通機関として実用化したい」と菅沼准教授は語った。
同市は急速に高齢化が進んでおり、高齢化率は今年8月時点で46%。鉄道が廃線になり、公共交通機関であるバスの運行本数も限られるだけに、自動運転車の実用化への期待は高まっている。