長野・飯綱町のスキー場、クラウドファンディングで再生へ
いいづなリゾートスキー場(飯綱町)がインターネットで不特定多数から小口資金を募る「クラウドファンディング」を活用した再生に乗り出す。資金はスキー客を増やすためにレストランの改修費に充てる。スキー場を運営していた同町の第三セクターが2009年に清算され、現在は地元企業が指定管理者として運営する。経営から離れた同町が財政支援するのは難しく、関係者は今後も新たな民間資金の活用でてこ入れを進める。
クラウドファンディング運営大手のキャンプファイヤー(東京・渋谷)が2日に発表する。同日から、ホームページ上で投資者の募集を始める。10月ごろまで資金を受け付ける。
投資は3千円から。返礼は3千円ならリフト券10回分などで、4万円ならフルタイムシーズン券を受け取ることができる。スキー場内に投資者の木彫りのネームプレートも掲示する。
目標額は200万円。スキー場のレストラン「トップハット」が老朽化しており、スキー客が快適に休憩できるように改修する。ピザ窯も設置し、ゲレンデでピザなど食事ができるようにする。
いいづなリゾートスキー場を巡っては、2009年に同町の第三セクター「飯綱リゾート開発」が特別清算。地元企業などが出資して設立した「飯綱東高原観光開発」が町の指定管理者として運営している。その経緯から「補助金など町からの金銭支援は住民の理解が得られない」(飯綱町)といい、町が前面に立って支援に動きにくい事情があった。
そこで同町が目を付けたのはクラウドファンディングと地域おこし協力隊だ。キャンプファイヤーと関係があった東京のベンチャー企業出身の高岡昌寛氏が6月に隊員に着任し、プロジェクトが動き始めた。高岡氏は「自分が思うように活動ができている」と話す。
キャンプファイヤーが6月から始めた地方創生用クラウドファンディングを自治体が活用するケースは珍しく、通常は銀行など企業がエリアパートナーとしてプロジェクトを主導する。ところが、飯綱町では高岡氏がエリアパートナーを担う。個人がエリアパートナーに就くのは初めてという。飯綱地域の事業は「スクマチ飯綱長野」と名付けた。
同町は今後もクラウドファンディングを活用した地域活性化を進める方針だ。クラウドファンディングは、銀行の融資と違って、投資者に直接宣伝してファンを増やす効果が見込めるからだ。
同町は「新しい地方創生のスタイルを目指す」(小沢勇人副町長)とプロジェクトに期待を込める。高岡氏も「駅前の活性化など、他の案件でもクラウドファンディングを利用していきたい」と話している。