東京商工リサーチ、「チャイナリスク」関連倒産調査結果を発表
【プレスリリース】発表日:2020年2月10日
[特別記事]
「チャイナリスク」関連倒産(2020年1月)
~廃棄物の輸入規制で倒産も、「新型コロナウイルス」も懸念材料~
2020年1月の「チャイナリスク」関連倒産は6件(前年同月比200.0%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は7億2,800万円(同39.2%減)だった。
2019年(1-12月)は36件(前年比25.0%減)で前年を下回ったが、2020年1月は大幅に増加し、チャイナリスクの影響が注目される。
中国・武漢市が発生源とされる「新型コロナウイルス」の感染拡大に歯止めがかからず、日系企業を含め、多くの企業が工場の稼働停止や事務所、店舗の休止に追い込まれている。
世界の工場であり、大消費地でもある中国には多くの日系企業が進出している。だが、製造・販売の集積が進んだことで、中国の経済活動の停滞に日系企業が直撃された格好だ。
■「チャイナリスク」関連の集計基準
「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
1.コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
2.品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
3.労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
4.売掛金等回収難(サイト延長含む)
5.中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
6.反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
7.価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
8.その他
※表資料・グラフ資料は添付の関連資料を参照
「チャイナリスク」関連倒産は、これまで現地の人件費高騰などによる「コスト高」、安価製品との競合による「価格競争」を要因とするものが多かった。だが、1月は中国の規制変更に伴う倒産が2件発生、経営に影響を及ぼす「チャイナリスク」の内容が変化しつつある。
ペットボトルなどの回収・輸出を手がける(株)エコスポット・ソリューションズ(埼玉県)は、2017年から段階的に中国が廃プラスチックや古紙などの廃棄物の輸入制限を強化したことで、取引が大幅に低下し、経営に行き詰った。負債総額は約4億9,500万円。また、古紙回収を手がけていたリサイクルサービス(株)(神奈川県)は、中国が古紙を輸入制限したことによる古紙相場の下落が経営を直撃した。負債は8,800万円。
規制変更に加え、「新型コロナウイルス」感染被害の広がりは日本だけでなく、世界の企業に影響が及びかねない。2020年は中国進出や取引傾注のリスクが顕在化するかも知れない。
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