東証前引け 続伸、米経済対策や年金買い観測で 富士フイルムが一時ストップ高
18日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前日比296円80銭(1.74%)高の1万7308円33銭で前場を終えた。新型コロナウイルスを巡る景気下振れ懸念を和らげるため、米政府が総額約1兆ドル(約107兆円)の経済対策を検討すると発表し、安心感から投資家が運用リスクをとる姿勢を強めた。公的年金の買いが入ったとの観測も相場を支えた。
米政府の景気刺激策に加え、米連邦準備理事会(FRB)も企業の短期的な資金調達を支援するためにコマーシャルペーパー(CP)を買い入れる措置を発動すると発表。主要国が財政・金融の両面で経済対策に動くとの期待が投資家心理を改善させた。上げ幅は一時350円を超えた。
半面、新型コロナ問題は収束が見えず、高値では利益確定の売りも出た。日経平均の値動きへの影響度が大きいソフトバンクGについて、米シェアオフィス大手ウィーカンパニーへの支援策を見直すとの報道が伝わって大幅下落し、1社で日経平均を約54円押し下げた。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も続伸した。TOPIXの上昇率は2.67%と日経平均を上回った。市場では「値がさ株のマイナス寄与を差し引いてもTOPIXの強さが目立ち、公的年金の買いが入ったとの期待が高まっている」(大和証券の石黒英之シニアストラテジスト)との見方が多い。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆8668億円、売買高は12億3187万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1478と、全体の約68%を占めた。値下がりは643銘柄、変わらずは45銘柄だった。
花王や資生堂が大幅高。小田急や東武の上げが目立つ。丸井Gや三越伊勢丹も上昇。ソニーやトヨタなどの主力株も高い。グループ会社が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」について、中国政府が新型コロナに対する有効性を臨床研究で確認したと発表した富士フイルムは一時、制限値幅の上限(ストップ高)を付けた。
一方、IHIや日揮HDが大幅安。スカパーJやコナミHDの下げが目立つ。日野自やアドテストが下落。菱地所や住友不も安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
関連企業・業界