東証前引け 大幅続落 円高で先物売り膨らむ 内需・ディフェンシブ物色は支え
3日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落した。前週末比239円43銭(1.16%)安の2万0361円76銭で前場を終えた。米国と各国との通商摩擦が世界経済を下押しするとの懸念が根強く、投資家心理を冷やした。朝方から海外ヘッジファンドなどが株価指数先物に売りを出した。円高・ドル安の進行も日本企業の輸出採算が悪化するとして主力の輸出関連株の売りにつながった。日経平均は一時、2万0305円と取引時間中としては1月15日以来の水準に下げた。一方、内需や業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄の一部に買いが入ったほか、午前に発表された中国の経済指標も相場を下支えする材料となった。
米国と各国の通商問題を巡る対立の長期化が意識された。米国は対中国に加え対メキシコでも関税の引き上げを表明し、世界景気の減速への警戒感から石油や非鉄金属など景気敏感株に売りが優勢だった。円相場が1ドル=108円台前半まで円高・ドル安に進み、機械や自動車など主力の輸出関連株に売りが膨らんだことも相場を下押しした。
日経平均は下げ渋る場面があった。食料品や不動産といった内需やディフェンシブ銘柄への買いが相場を下支えした。ただ市場では「積極的な買いではなく、下げた分の買い直しにとどまる」(国内証券のストラテジスト)と慎重な声が聞かれた。午前発表の中国の5月の財新購買担当者景気指数が50.2と、前月と変わらなかった。米中対立で中国景気の減速懸念がくすぶるなか、景況感が悪化しなかったことも一定の安心感につながった。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)は続落した。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆28億円、売買高は5億9043万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1763と全体の8割超を占めた。値上がりは320、変わらずは55だった。
ソフトバンクグループ(SBG)が1銘柄で日経平均を50円超下押しした。トヨタとホンダが下落。コマツと日立建機が安い。一方、キッコマンとキリンHDが上昇した。東電HDと関西電が上げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕