NY商品、原油が下落 米景況感の悪化で 金は7年ぶり高値を連日更新
【NQNニューヨーク=岩本貴子】21日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は下落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)でこの日から期近になった4月物は、前日比0.50ドル安の1バレル53.38ドルで取引を終えた。新型肺炎の感染拡大を受け、米企業の景況感悪化を示す指標が公表された。景気減速で原油需要が細りかねないとの見方が売りを誘った。
新型肺炎は日本や韓国など中国外でも感染者数の増加が続き、景気の下押し要因として意識されている。IHSマークイットが21日に発表した2月の米総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)は49.6に低下した。好不況の境目である50を下回り、6年4カ月ぶりの低水準だった。新型肺炎の悪影響が米企業業績にも表れてきたと受け止められた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は21日、関係者の話として「サウジアラビアはロシアとの原油生産に関する協定を破棄することを検討している」と伝えた。市場では「サウジなどの減産にロシアが協力しないのではないか」(TD証券)との懸念が広がり、原油先物の売り材料になった。
ニューヨーク金先物相場は7日続伸した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は前日比28.3ドル高の1トロイオンス1648.8ドルで取引を終えた。一時1652.1ドルと2013年2月中旬以来の高値を付けた。景気懸念から、相対的に安全資産とされる金を裏付けとする金先物には買いが入った。米長期金利が低下し、金利のつかない金の相対的な投資妙味が高まった面もある。