NY円、小反落 1ドル=108円10~20銭、米株高で売りも米利下げ観測が支え
【NQNニューヨーク=滝口朋史】4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3営業日ぶりに小反落し、前日比10銭円安・ドル高の1ドル=108円10~20銭で終えた。米株式相場が大幅に上げ、低金利で投資資金の調達通貨とされる円は売りが先行した。一方、米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げに踏み切るとの観測が強まったため、円の下げ幅は限定的だった。
中国商務省が4日、貿易摩擦は「対話によって解決すべきだ」との声明を出し、米中協議再開への期待を誘った。米ワシントン・ポスト紙(電子版)は4日、米共和党の上院議員が米政権に対しメキシコ製品への追加関税に反対する法案を決議すると警告したと報じた。貿易摩擦の激化に歯止めが掛かる可能性が意識され、米株式市場でダウ工業株30種平均が大幅に上昇。円は一時108円35銭まで売られた。
売り一巡後は下げ幅を縮小した。FRBのパウエル議長が4日の講演で貿易摩擦の激化に懸念を示し「景気の拡大を持続させるために適切に行動する」と述べた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「フェドウオッチ」によると金利先物市場が織り込む7月利下げの確率は前日の50%強から60%強に高まった。先行きの日米金利差が縮小するとの思惑が円相場を下支えした。
円の高値は107円98銭だった。
円の対ユーロ相場は続落し、20銭円安・ユーロ高の1ユーロ=121円65~75銭で終えた。世界経済の減速懸念がやや和らぎ、円売り・ユーロ買いが優勢になった。
ユーロは対ドルで3日続伸し、0.0010ドルユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1245~55ドルで終えた。欧州連合(EU)統計局が発表した5月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)の上昇率が市場予想以上に鈍化したのを受けユーロ売り・ドル買いが先行した。ユーロ売り一巡後はパウエル議長の講演を受け、ユーロ買い・ドル売りが優勢になった。
ユーロの高値は1.1267ドル、安値は1.1227ドルだった。