鳩山氏「弔い合戦、父が支えてくれた」 福岡6区補選
保守分裂となった自民系無所属2候補と、野党共闘候補が事実上三つどもえの戦いを繰り広げた衆院福岡6区補欠選挙は23日、6月に死去した鳩山邦夫元総務相の次男、鳩山二郎氏(37)が当選を決めた。知名度の高い父親の「弔い合戦」を掲げ、優位に選挙戦を進めた。有権者からは「地域再生に取り組んで」などと注文が付いた。
「おーっ」「おめでとう」。午後8時の投票締め切り直後、テレビで当選確実の速報が流れると、福岡県久留米市内のホールに集まっていた鳩山氏の支援者は一斉に拍手し、喜びをはじけさせた。会場には邦夫氏の遺影が掲げられ、鳩山氏は「古里に対して命をかけて仕事をしていく」と深く頭を下げた。
鳩山氏は自民福岡県連が推した蔵内謙氏(35)との間で自民公認を争ったものの調整がつかず、保守分裂選挙に突入。当選した方が追加公認されることになっていた。当選が決まった鳩山氏があいさつをしている最中、二階俊博自民党幹事長から携帯電話に連絡が入り、電話を終えた鳩山氏が「追加公認をいただきました」と述べると、会場はどっと沸いた。
「この選挙は父が後ろから支えてくれていたと実感した」と述べた鳩山氏。神妙な面持ちを崩さず「地方が元気になるため、国会で懸命に汗をかく」と抱負を語った。
一方、蔵内氏の選挙事務所では午後8時すぎ、「あー」と落胆の声が上がり、集まった議員らは一斉に静まり返った。その後、蔵内氏が会場に入ると拍手が起き、ねぎらいの声が上がった。
県連会長の長男の蔵内氏は、麻生太郎副総理や古賀誠元自民党幹事長らの支援も受けたが及ばなかった。蔵内氏は「私の力不足」と唇をかんだが、敗因について「保守分裂の影響はあった」と述べ、党公認が得られなかったことへの悔しさもにじませた。
「私の力不足で申し訳ない。ゼロからここまで押し上げてくれた皆様に感謝したい」。野党共闘候補で民進公認の新井富美子氏(49)も支持者ら約50人に深く頭を下げた。午後8時前から久留米市内の事務所で結果を待ったが、鳩山氏の当選確実の一報に悔しそうな表情を浮かべた。
新井氏は「私たち野党がもっと力をつけていく課題を改めて感じた。これで終わりではない。ここから新たな前進をしたい」と語った。