IMF副専務理事に張氏 2代続けて中国出身者
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は月内に退任する朱民副専務理事の後任に、中国人民銀行(中央銀行)副総裁の張濤氏を充てる方針だ。ラガルド専務理事が8日に任命案を示し、近く理事会の承認を得る見込みだ。朱氏は中国出身者で初めて副専務理事に就いたが、後任も同国から起用する。同ポストの一角は中国の指定席となりそうだ。
張氏は2015年までIMFの理事を務め、世界銀行やアジア開発銀行など国際機関の経験も長い。今年5月に朱氏の後任含みで人民銀副総裁に就いていた。任期は5年。
副専務理事職はIMFの準トップで、日本の財務省出身の古沢満宏氏ら4人が務めている。11年に朱氏が同ポストに就いて以降、IMFは中国の人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用すると決めるなど、同国との融和路線を強めている。
戦後の国際経済・通貨体制を支えたIMFと世銀は、欧州出身者がIMFトップ、米国出身者は世銀トップに就く慣行が続いてきた。中国など新興国は経済発展に見合った発言権が得られていないと不満を強め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設などにつながった経緯がある。