アベノミクス再審判 参院選公示、憲法も争点に
第24回参院選が22日公示され、7月10日投開票に向けて選挙戦が始まった。景気の先行きが不透明な中、3年半を迎えた安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」が再び審判を受ける。憲法改正に前向きな改憲勢力が3分の2に届くかが焦点。国政選挙で初めて18歳選挙権が適用され、若い世代の関心が高まるかに注目が集まる。低迷が続く投票率の行方もカギを握る。
立候補の届け出は22日午前8時半から午後5時まで。選挙区は各都道府県の選挙管理委員会、比例代表は東京・霞が関の中央選挙管理会で受け付けた。午後1時20分現在の立候補者数は選挙区222人、比例代表164人の計386人。前回の433人を下回っている。
公示を受けて各党党首は22日午前、各地で第一声をあげた。生活の党の小沢一郎共同代表は午後に街頭に立つ。
参院議員の任期は6年。参院の定数は242で半数の121(選挙区73、比例代表48)が3年ごとに改選される。
1票の格差を是正するため、2県を1つの選挙区にする合区(ごうく)が初めて実施され「鳥取・島根」「徳島・高知」がそれぞれ1選挙区になった。改選定数は宮城、新潟、長野が1減り、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡は1増えた。
選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が19日に施行されて初めての国政選挙になる。新たに選挙権を得たのは18、19歳の約240万人で、有権者全体の約2%に当たる。
与党の非改選議席は76。今回、46をとれば過半数を維持できる。自民党だけで57議席を獲得すれば27年ぶりの単独過半数になる。首相は来年4月に予定していた消費税増税の延期を決めた際に「国民に信を問う」と述べ「与党で改選議席の過半数の61」を勝敗ラインに設定した。
自民、公明両党は雇用拡大や税収増などの成果を示し、アベノミクスの継続を訴える。首相は第2次安倍政権発足以来の課題であるデフレ脱却と、名目国内総生産(GDP)600兆円の達成を掲げている。
一方、民進、共産、社民、生活の野党4党は、勝敗を左右する32ある定数1の1人区すべてで候補者を一本化し、与党と一騎打ちの構図を鮮明にした。個人消費が力強さを欠く状況をアベノミクスの失敗と批判。所得再分配の強化や格差是正など経済政策の転換を求める。環太平洋経済連携協定(TPP)への批判や脱原発でも足並みをそろえた。
安倍政権下での憲法改正にも野党4党は反対だ。改憲の国会発議に必要な議席数は参院の3分の2の162。改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党と与党を合わせた非改選は84議席のため、これらの勢力で78議席を獲得するかも攻防ラインとなる。
7月10日は一部地域を除いて午後8時に投票を締め切り、即日開票する。11日未明には大勢が判明する見通しだ。