農林水産物・食品の輸出額が最高 15年1~11月
2015年の農林水産物・食品の輸出額が過去最高を更新した。農林水産省が7日発表した同年1~11月の実績は前年同期比22%増の6690億円となり、12月分を待たずに過去最高だった14年の6117億円を上回った。品目別にみると中華料理向けに需要の多いホタテが最も多い。海外での人気が高まっている和牛や日本酒も前年同期よりも2割以上増えた。
輸出先は富裕層が増加しているアジア向けが24%増の4896億円と全体の7割強を占めた。このうち香港向けは1607億円(34%増)と国・地域別で首位。香港経由で中国本土にわたる分も含まれている。台湾は13%増の832億円。
北米向けは16%増の1064億円で、米国が977億円を占めた。欧州向けは16%増の417億円、オセアニア向けも19%増の168億円とそれぞれ増えた。
品目別トップのホタテは33%増の546億円。水産物ではサバも55%増の162億円と好調だった。日本酒は22%増の126億円、和牛は35%増の95億円と順調に増えた。果実では99億円を輸出したリンゴ(54%増)の伸びが目立った。
政府は農産物輸出を20年までに1兆円に伸ばす計画だが、目標達成の前倒しも視野に入れている。課題はコメの輸出拡大だ。途上国への援助米を除いた1~11月の輸出額は前年同期比67%増えたものの、金額はまだ19億円にとどまる。
政府は生産量を抑える減反政策によって米価を維持しているが「コメ価格を下げれば、まだまだ輸出を拡大する余地がある」(キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹)との指摘がある。