新麻生派「第2派閥」に 山東派など合流で59人
自民党麻生派と山東派、谷垣グループを離れた佐藤勉衆院議院運営委員長らが3日、合流して新派閥を立ち上げた。派閥の名称は「志公(しこう)会」で、会長には麻生太郎副総理・財務相が就任した。所属議員は59人。額賀派(55人)を抜き第2派閥となった。今夏の内閣改造・党役員人事や、安倍晋三首相の後任総裁をめぐる派閥間の駆け引きが活発になるとの見方も出ている。
都内のホテルで開いた設立総会後の記者会見で、麻生氏は「安倍政権をど真ん中で支える」と強調した。山東昭子元参院副議長が会長代行、佐藤氏は会長代理に就き、顧問には高村正彦副総裁と甘利明前経済財政・再生相が就任した。
首相の出身派閥で党内最大の細田派(96人)に次ぐ規模となる。麻生氏は記者会見で、志公会の名をめぐり「志を高く持ち、公を腹に収めてやってもらいたい」と説明した。
野党第1党の民進党の弱体化を踏まえ、麻生氏は「新しい政治の形として(自民党に)大きな政策集団2つを考えていくべきではないか」と合流の目的を説明した。
デフレ脱却に向けた経済政策などで安倍政権を支えるという。麻生氏は菅義偉官房長官と甘利氏を交えて2日夜に首相と会食した。首相から新派閥の立ち上げに「『期待している』と励ましてもらった」と明かした。
閣僚や党役員人事で重要ポストを獲得するのが派閥の存在意義でもある。規模が大きいほど発言力は増す。麻生派と谷垣グループは岸田文雄外相率いる第4派閥の岸田派とともに池田勇人元首相が旗揚げした名門派閥「宏池会」の流れをくむ。岸田派を含めた再結集にも意欲があるとされる麻生氏だが、会見では「現在、岸田さんと直接合併の話をしていることはない」と語るにとどめた。
東京都議選での自民党の惨敗を受け、首相は8月末までに内閣改造・党役員人事を検討している。これが新麻生派の試金石となる。同派幹部の一人は3日、「内閣改造で他派閥を圧倒するぐらいの人数をうちから入閣させたい」と話した。
来年9月には党総裁選が控える。首相の3選が確実視されていたが、都議選後の政権運営次第では安泰ではなくなった。新派閥の結成を首相返り咲きへの麻生氏の野心と勘繰る向きもある。谷垣禎一前幹事長が自転車事故で入院している間に所属議員を引き抜かれた谷垣グループからは「主のいないときに品が良いとは言えない」(関係者)との声も上がる。
麻生氏は記者会見で都議選惨敗について「国会議員の発言が地方選挙に大きな影響を与えたのは間違いない。謙虚に反省しないといけない」と述べた。山東氏も「答弁に納得できないという世論をよくみなかったのではないか」と指摘した。
都議選で「自衛隊としてもお願いしたい」と失言した稲田朋美防衛相には党内からも批判が出る。記者団に稲田氏の処遇を問われた甘利氏は「適切なときに適切な人事を首相がする」と述べた。