米株上昇、東京市場に上値余地(先読み株式相場)
21日の東京株式市場で日経平均株価は続伸しそうだ。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げするとの期待感から前日の米株式相場は大きく上昇しており、世界的に株式に資金が流入するとの見方から日本株にも買いが先行する可能性が高い。前日終値(2万1462円)から100円程度高い2万1550円近辺まで上昇余地があるとの見方が出ている。
20日の米株式市場でS&P500種株価指数が史上最高値を約2カ月ぶりに更新した。ダウ工業株30種平均は昨年10月の史上最高値まであと75ドルに迫った。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物6月物は2万1430円と、20日の清算値を30円上回った。
米の早期緩和観測はドル安の流れを加速させている。外国為替相場で円相場は1ドル=107円前半まで上昇した。円高は日本企業の業績悪化につながるとはいえ、「米国の利下げを期待したリスクオンムードの方が強い」(東洋証券の檜和田浩昭投資調査部長)という。
株式相場のチャート分析上からも上値追いの環境が整ってきたとの見方が出ている。日経平均は日足で50、75、100日、週足で13週の各移動平均を突破した。4月高値(2万2307円)から6月安値(2万0408円)の半値戻しも達成するなど、多くのテクニカル面の節目を回復した。大和証券の木野内栄治ストラテジストは、「特に3月と5月にフシとなった13週線を上抜けたことで目先は2万1800円近辺まで上値余地がある」との見方を示した。
一方、売買代金は2兆円を下回る日が多い。SMBC日興証券の太田千尋投資情報部部長は「株式市場というプールに新たな水は入っておらず、売り手不在で同じ水が循環しているだけ」と指摘する。特に外国人投資家は景況感が悪化するなかで増税を実施する日本に投資する理由に乏しく、「外国人不在では腰の入った買いは見込めない」(太田氏)という。
個別では日産自が注目だ。20日、同社と仏ルノーは自動運転開発会社の米ウェイモと、無人運転技術を活用したサービスで提携すると発表した。ルノーとは資本関係や人事を巡って温度差も出ているが、事業面の連携を深める姿勢を市場は評価しそうだ。
国内では総務省が5月の全国消費者物価指数(CPI)、海外では5月の米中古住宅販売件数が発表される。ブランドT(7067)が東証マザーズ市場に新規上場する。
〔日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥〕