ヘッジファンドの日本株買い、本番は来年
「2020年、米国株はアンダーパフォーム(相対的にベンチマークを下回る)の可能性も」
米国株に漂う割高感が、ニューヨーク(NY)から見る「外国株」への注目度を高める兆しが見られる。日本株は、その「外国株」リストに載っている。そのリストに日本、韓国と併記されると、違和感を覚えるが、日韓問題はNY市場でほとんど意識されていない。
外為法改正が醸し出す不透明感も、ヘッジファンドには「興味深いチャンス」と映る。
現在進行中のヘッジファンド日本株買いは、いまだに「買い戻し」の域を超えていない。クリスマス休暇を視野に、とりあえず日本株を売りのまま越年は気持ち悪い、という本音が透ける。買いの本番は2020年となりそうだ。
総じて、債券ポジションを減らし、株式ポジションを増やす傾向が顕在化している。
米中通商問題が依然材料視されるが、なんらかのかたちで「第1段階」合意を市場は既に織り込んだ状況だ。
18日にはNY市場寄り付き直前に「中国側が悲観的。トランプ大統領は追加関税撤回をワシントンで約束したはず。米農産物輸入400億~500億ドル相当という金額にはコミットしていない。大統領選挙、弾劾問題の行方が不透明ゆえ、待ちの姿勢」と米国CNBC北京特派員報道が流れ、ダウ工業株30種平均が急落する一幕もあった。結局しぶとく31ドル高で引けた。
NYダウは最高値更新後、どこまで上がるかを試したがっている。
相場は「悲観に生まれ、懐疑に育ち」つつある。
ただし、既に織り込んだ「米中第1段階合意」がトップ会談ではなく閣僚級の署名で済まされる可能性もちらつき、相場の「育成」が阻害されるリスクは覚悟の上である。
2020年は、NY市場で米中通商リスクと大統領選が醸成するリフレ相場の綱引きが想定されそうだ。
そこで米国株の割高感がさらに強まれば、外国人投資家の日本株買いも本番に入ることになろう。
そのケースに備え、日本株に関する知見を蓄積する動きを筆者は体感しているところだ。寄せられる質問を見るに、日本に関する楽観的材料探しの様相である。なかには「多忙中すまないが、週末にかけ1泊3日で良いからNYに来てもらえまいか。中立的な生の声を聞きたい」との丁寧な招待状もあり、本気度を感じている。
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org