米のNAFTA脱退懸念 カナダとメキシコ通貨に売り、GM株も下落
【NQNニューヨーク=横内理恵】米国が北米自由貿易協定(NAFTA)から脱退するとの懸念が米市場で出ている。米東部時間10日午後にロイター通信が、カナダ政府関係者の話としてトランプ大統領が脱退を表明するようだと報じた。カナダ、メキシコ経済には逆風になるとの見方から、外国為替市場でカナダドルとメキシコペソに売りが膨らんだ。
米国、カナダ、メキシコは1月23日からNAFTA再交渉のための第6回会合を開く予定。米国の厳しい要求にカナダとメキシコが反発しており、交渉は難航するもよう。ロイターによると、カナダ政府関係者はトランプ大統領が再交渉会合の開始時期に合わせて脱退を表明するとみているという。ただ、脱退表明はトランプ氏が交渉を有利に進めるための戦術だとの指摘もある。
報道を受け、10日午後の外国為替市場ではカナダドルが急落。前日終値の1ドル=1.24カナダドル台後半から、一時1.25カナダドル台後半に水準を切り下げた。メキシコペソにも売りが膨らみ、1ドル=19ペソ台前半から19ペソ台半ばに下げる場面があった。
米株式市場では、メキシコに工場を持つ自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が一時3%超下げた。米政府が自国製品を一定割合以上使う「原産地規則」を求めており、メキシコ生産の障害になるとの見方が売りを誘った。