9月の経常黒字、1兆8216億円 貿易や旅行は黒字縮小
財務省が8日発表した9月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆8216億円の黒字だった。黒字は51カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて19.3%減少した。第1次所得収支の大幅な黒字が続いた半面、貿易収支や旅行収支は黒字額が減った。
第1次所得収支は1兆6945億円の黒字だった。黒字額は1.6%拡大した。海外子会社から受け取る配当金など直接投資収益が伸びた。
輸送や旅行といった取引の収支を示すサービス収支は415億円の赤字で、前年同月(571億円の赤字)から赤字額が減少した。金融サービスや知的財産権等使用料の受け取りが増えた。
旅行収支は1145億円の黒字と前年同月(1195億円の黒字)から黒字額が減った。旅行黒字が前年実績を下回るのは17年3月以来、18カ月ぶり。台風など自然災害の影響による訪日外国人の減少が響いた。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3233億円の黒字と、黒字額は62.3%減少した。原油価格の上昇を背景に原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、輸入額が全体で8.0%伸びた。一方、輸出は自動車や通信機が減少し、輸出額全体で0.9%減少した。輸出が減少したのは23カ月ぶり。
同時に発表した4~9月期の経常収支は10兆6473億円の黒字だった。黒字額は前年同期比8.3%減少した。貿易収支は1兆1691億円の黒字、第1次所得収支は11兆2837億円の黒字だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕