もみ合いか 材料難で買い限定(先読み株式相場)
6日の東京株式市場で日経平均株価は前日終値(2万1726円)を挟んでもみ合う展開となりそうだ。米株式相場の上昇の勢いが一服して新たな買い材料に欠ける中、改めて貿易問題を巡る米中協議の行方を見極めたいとして積極的な買い持ち高の積み増しを控える投資家が多い。だが、中国の景気対策への期待から売りも限られ、市場では日経平均は2万1600円から2万1900円程度の範囲で推移するとの見方があった。
5日の米ダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比13ドル安の2万5806ドルで終えた。5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で政府が経済成長率の目標を引き下げたのを受け、中国関連株に売りが出た。しかし、2月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が市場予想を超えて上昇するなど米経済指標を好感した買いが小売株に入り、相場は方向感に欠けた。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物3月物は2万1730円と5日の清算値を20円下回った。
米株式相場が高値圏で膠着感を強める中、中国の景気対策への期待が日本株の支えとなる。中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は全人代で企業向けを柱として2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税を実施する方針を打ち出した。地方政府がインフラ建設に充てる債券の発行枠も積み増す計画で、日立建機や安川電といった中国関連株には買いが入りやすい。
しかし、米国による対中追加関税の引き下げなどの期待は株式相場にある程度織り込まれ、月内に予定される米中首脳会談での合意内容を確認したいとする投資家は多い。日経平均は長期の株価トレンドを示す200日移動平均(2万2043円程度)が迫り「期待感をもとにした買いの勢いは限界が近い」(国内証券ストラテジスト)との見方もある。3月の決算期末が近いとあって国内金融機関による利益確定を目的とした売りが出やすいことも相場の上値を抑えるだろう。
国内では日銀の原田泰審議委員が山梨県金融経済懇談会であいさつし、記者会見する。海外では2018年10~12月期のオーストラリアの国内総生産(GDP)が発表されるほか、米国では12月の米貿易収支や米地区連銀経済報告(ベージュブック)などが公表される。
〔日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥〕