国際協力銀総裁「ASEAN経済共同体へ積極支援を」
日経・FT共同シンポ
日本経済新聞社と英紙フィナンシャル・タイムズは17日、第3回共同シンポジウム「ASEAN経済共同体と日本~変化を超えて~」を都内で開いた。基調講演した国際協力銀行の渡辺博史総裁は「東南アジア諸国連合(ASEAN)内でいかに連携を図るかが重要だ」と述べ、ASEAN経済共同体(AEC)発足に向け、日本が積極的に支援を図るべきだとの考えを示した。
渡辺氏は「これまでアジア全体で構築してきたサプライチェーン(供給網)を維持していかなければならない」とし、日本が主導してサプライチェーンの効率化を図る必要があると強調した。
域内の統合を図るためには「道路や鉄道などの輸送網を広げる必要がある」と指摘。日本はインドシナ半島を東西に結ぶ輸送網を構築するための支援のほか、法制度の統一や、輸出入を監視するためのIT(情報技術)の供与などに向けた支援を図るべきだと述べた。
渡辺氏はASEAN諸国の課題として国内消費の拡大を挙げ、「中間所得層を増やすことが重要」と述べた。所得再分配政策などといった財政政策についても日本のノウハウを提供していくべきだとの考えを示した。
環境や食糧安全保障分野でも日本は貢献できる技術があると指摘。日本が持つあらゆる技術やノウハウ、資金などを活用しながらASEAN内の統合を積極的に支援する必要があると語った。