ウーバー、大株主が創業者を不正行為で提訴
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの大株主の米ベンチャーキャピタル(VC)ベンチマークキャピタルが10日、ウーバー創業者のトラビス・カラニック氏を不正行為で訴えた。ベンチマークはウーバーを創業期から支える投資家で、6月にはセクハラ黙認などのスキャンダルを発端にカラニック氏をトップから辞任させた。取締役としては残る同氏をベンチマークは完全に追放しようとしており、今後両者の激しいやりとりが予想される。
訴訟でベンチマークは、カラニック氏が様々な問題について投資家への適切な開示を怠った点を非難している。昨年、投資家をだます形で取締役のポストを3つ増やし、息のかかった人物を任命できるようにしたと指摘。さらに、運転手によるレイプ事件被害者情報の不適切な取り扱い、セクハラ被害、規制当局の担当者にサービスを利用させないようにするソフトの開発、といった深刻な問題が事後的に開示されたとしている。
また、米グーグル系ウェイモ出身の技術者が立ちあげたベンチャーを買収する際、ウェイモの技術が持ち出された可能性をカラニック氏が認識していたと主張している。
ウーバーでは同日、創業期からの社員で、取締役のライアン・グレイブス氏が海外展開や新規事業を統括する通常業務からは退くと明らかにした。同氏はカラニック氏同様、社内問題への対応を批判されていた。