ベネズエラ最高裁、議会機能停止を撤回 反発受け
マドゥロ大統領「論争は終わりだ」
【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラの最高裁は1日、野党が多数派を占める議会(一院制)の機能停止という3月29日の決定を取りやめたと発表した。国際社会や国民からの反発を受け、マドゥロ政権が最高裁に対し決定の再考を求めていた。
ロイター通信などによると、マドゥロ大統領は1日未明に国家安全保障委員会を緊急招集。「論争は終わりだ」として、委員会を通じて最高裁に再考を求め、裁判所がこれに従った。
3月29日の最高裁の決定後、国際社会が相次ぎベネズエラ政府を非難。ペルーが駐ベネズエラ大使の召還を決めたほか、米州機構(OAS)が「最高裁の判決は民主主義の終わりだ」と指摘した。加えて野党支持者が大規模デモを計画するなど国内外からの圧力が強まり、マドゥロ政権が方針を転換した模様だ。
産油国のベネズエラでは資源価格の低迷で経済が混乱、物不足や高インフレが深刻化している。反米左派のマドゥロ大統領は裁判所に影響力を行使し、野党が求める大統領罷免に向けた動きを無視するなど独裁色を強めていた。