フォルテ、東証マザーズ上場へ 青森企業のIPO、07年以来
システム開発のベンチャー企業(VB)フォルテ(青森市)は、2020年2月期にも東証マザーズに株式上場する方針を決め、準備を始めた。市場から開発資金を調達して新商品の投入ペースを速め、成長をめざす。青森県内の企業の新規株式公開(IPO)は07年に東証2部に上場した食品スーパーのユニバース(その後上場廃止)以来で、VB系は初となる。
同社は全地球測位システム(GPS)などの位置情報と通信を融合した技術を得意とする。主力商品は行きたい場所まで音声で道案内する自転車向け観光ガイドシステム「ナビチャリ」で、全国約10カ所のレンタサイクルが導入している。
今春にはヘルメットに本体を装着し、スマートフォンと近距離無線通信使ってサイクリング中に音楽を聴いたり、仲間同士で会話したりできる「ヴォーチェ・ラブル」を発売した。いずれも耳を塞がない骨伝導ヘッドホンを使用し、安全性を高めたのが特徴だ。
同社の技術の拡張性や成長性に投資ファンドが注目。岩手銀行などが設立した「岩手新事業創造ファンド」が今春、同社株式を取得した。また、大和証券グループが設立し、青森銀なども出資する「東日本大震災中小企業復興支援ファンド」も出資を検討している。
フォルテはこうしたベンチャーキャピタルの助言を得て、16年度から上場準備を始めた。18年度まで3年かけて企業統治(コーポレート・ガバナンス)や内部管理体制の整備を進め、最短で20年2月期の東証マザース上場をめざす。
同社は05年創業で従業員は現在14人。16年2月期の売上高は1億3600万円。経常利益は1600万円。12月から来年2月にかけて「ヴォーチェ」シリーズの新商品を相次ぎ投入し、17年2月期は売上高7億7300万円、経常利益2億4200万円を計画。
投資ファンドに示した事業計画では上場目標の20年2月期に売上高67億円、経常利益31億円を見込む。
上場に向け今期は資本金を300万円から4100万円に増資し、技術者や財務会計担当者ら4人を新規採用した。
葛西純社長は「補助金や融資で新商品を開発していくのは成長が遅い。市場から直接資金を集めて開発につぎ込み飛躍的な成長をめざしたい」と話している。
青森県の上場企業は現在、地元地銀2行とホームセンターのサンデー、商社の東北化学薬品の4社で、製造業やベンチャー企業はない。