蜂蜜やミツバチ、広がる農薬汚染 9都県で検出
日本各地の蜂蜜やミツバチ、さなぎが、ネオニコチノイド系農薬に広く汚染されているとの調査結果を、千葉工業大の亀田豊・准教授(環境化学)らのグループが28日までにまとめた。東北から沖縄の9都県で集めた73サンプル全てで検出され、蜂蜜では6割超で国の暫定基準を上回った。
蜂蜜は日常生活で食べる量であれば、人の健康にすぐに影響が出るレベルではないという。
ネオニコチノイド系農薬は、各国で多発するミツバチの大量死や群れの消滅との関連が指摘される。亀田准教授は「農薬によっては48時間でミツバチの半数が死ぬとされる濃度を超えていた。野生のミツバチからも高濃度で検出され、既に影響が出ている可能性もある」と指摘する。
グループは岩手、福島、茨城、千葉、長野、静岡、鳥取、沖縄の各県と東京都内でサンプルを収集。28製品の蜂蜜、38地点のミツバチ、7地点のさなぎについて、クロチアニジン、ジノテフランなど6種のネオニコチノイド系農薬を分析した。
蜂蜜中の濃度は最高1グラム当たり351ナノグラム(ナノは10億分の1)、平均は約25ナノグラムだった。蜂蜜はネオニコチノイド系農薬の残留基準が定められていないが、その他の農薬に適用される国の暫定基準を18製品で超えていた。
成虫で濃度が最も高かったのは養蜂バチの10.6ナノグラム。別の場所の野生ハチも最高9.4ナノグラムが検出され、汚染が全国的に広がっていた。グループは場所ごとの濃度を公表していない。グループは「野生ハチへの影響を含め、より精密で広い範囲の調査が必要だ。ハチの成虫などサンプル集めに協力してほしい」としている。〔共同〕