村上元代表を強制調査 アパレル株の株価操作の疑い
証券監視委
旧村上ファンドを率い、「物言う株主」として知られた村上世彰元代表(56)が株価を操作した疑いが強まり、証券取引等監視委員会は25日、金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で東京都内の元代表の長女宅を捜索するなど強制調査した。株価操作した疑いがあるのは東証1部上場のアパレル大手、TSIホールディングス株。監視委は同日、村上元代表から任意で事情聴取した。
村上元代表は任意聴取に対し、容疑を否認したとみられる。監視委は押収した資料を分析するなどし、同容疑での刑事告発も視野に実態解明を進める。
関係者によると、村上元代表は2014年6月から7月にかけて、証券会社などからTSIホールディングス株を借りて大量売却し、値下がりした後に買い戻す「空売り」という手法を悪用。同社の株価を不正に下げた疑いがもたれている。
村上元代表の長女で、投資会社「C&Iホールディングス」(東京・港)の村上絢代表取締役らも関与が疑われており、監視委は長女からの事情聴取も含めて調べるとみられる。
TSIホールディングスは11年、アパレル大手のサンエー・インターナショナルと東京スタイルが統合して発足した。旧東京スタイルをめぐっては02年、当時大株主だった村上元代表が大幅な増配を要求し、会社側と委任状争奪戦を繰り広げた経緯がある。
村上元代表側の関係者によると、元代表はシンガポールを拠点に活動し、長女は都内に居住している。元代表は現在、日本に一時帰国しており、監視委は帰国のタイミングに合わせて、強制調査と任意聴取に踏み切ったとみられる。
金商法が禁じる相場操縦は、証券市場で架空の売買や虚偽の売買注文を繰り返すなどし、意図的に株価を操る行為。市場の公正な価格形成をゆがめる行為として禁止されている。財産上の利益を得る目的で相場操縦した場合、懲役10年以下と罰金3千万円以下が合わせて科され、相場操縦で得た財産は没収・追徴の対象となる。