歌人・藤原定家「明月記」、空白の6行発見 東大チーム
林原美術館(岡山市)は23日までに、鎌倉時代の歌人、藤原定家の日記「明月記」(国宝)の原本の6行が所蔵品から見つかったと発表した。これまで知られていなかった部分で、定家が息子の為家と再建された京都御所の閑院殿を訪れたとの内容だった。昨年3月から東京大史料編纂所のチームが調査していた。
調査したのは「日本古筆手鑑(てかがみ)」という史料。巻物や本から切り取られた断片など243点が貼り付けられたアルバムのような作品集で、主に鑑賞用に使われた。原本の一部は縦29.2センチ、横10.3センチ。筆跡などから定家自筆と判断した。内容から建保元(1213)年2月の日記とみられる。
日本古筆手鑑には、後嵯峨天皇の歌集「後嵯峨院御集」の写本の一部なども含まれていた。歌集名だけが知られ、現存する史料は見つかっていなかった。
明月記は定家が半世紀以上にわたってつづった日記。定家の父で歌人、藤原俊成を祖とする冷泉家が原本の大部分を所蔵するが、一部は流出し行方が分からなくなっている。
日本古筆手鑑は1700年以降に作られたとみられ、岡山の実業家、林原一郎が1945~61年に入手したコレクションの一つ。内容の一部は研究者の著書でも紹介されていたが、本格的な研究はされていなかった。〔共同〕