感染症対策、国際緊急援助隊に専門家組織 政府とJICA
政府と国際協力機構(JICA)は、海外で起きた大規模災害の支援に当たる国際緊急援助隊に感染症対策のための専門家チームを近く新設する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。昨年西アフリカでエボラ出血熱が流行したのを踏まえ、国境を越える脅威に対応する非軍事分野の国際貢献策につなげる考えだ。
国際緊急援助隊はJICAを中心として、災害状況に応じて警察官や消防隊員、医師、研究者らを集めて構成する。救助、医療、専門家の各チームと自衛隊部隊がある。JICAは今年から来年にかけ、新たに感染症に詳しい医師や看護師を募集して派遣候補者として登録する。
疫学調査や物資管理の担当者らと組み合わせ、必要な人材を提供できる体制を整える方向だ。院内感染を防ぐ教育支援も想定する。
課題は国内の専門家育成や人材確保。国際緊急援助隊の医療チームには医師や看護師ら約千人が登録しているが「感染症対策の経験者はまだ少ない」(政府関係者)ためだ。
エボラ出血熱のほか、2003年には中国などで新型肺炎(SARS)が大流行し、最近では韓国で中東呼吸器症候群(MERS)の感染が拡大した。
JICA国際緊急援助隊事務局の鈴木規子事務局長は「日本国内での流行に備えて専門家を育てる意味でも海外派遣は有意義だ」としている。〔共同〕