倉庫火災、ドローンで空撮 さいたま市消防局が試み
埼玉県三芳町の事務用品通販アスクルの物流倉庫火災で2月、さいたま市消防局は消防活動の一環で小型無人機ドローンを飛ばし、建物の燃焼状況などを空撮した。総務省消防庁によると、火災での運用は珍しい。
人の立ち入りが難しい場所で撮影できる新たなツールとして期待されているが、課題も多く、市消防局は「活用の場を広げるため経験を積んでいきたい」と話す。
総務省消防庁によると、ドローンは不明者の捜索や情報収集に役立つとして、全国で導入に向けた動きが進んでいる。昨年3月には、さいたま市と千葉市に機体を試験的に配備。両市は操縦訓練など半年の準備期間を経て運用を始めた。これまで不明者捜索での使用はあったが、火災時の運用は初めてという。
アスクルの倉庫火災は2月16日午前に出火。応援で現地入りしたさいたま市消防局は同日午後、ドローンを飛ばして上空30~50メートルから消防指揮本部が視認できない消防隊の動きや、熱でゆがんだ屋根などを撮影した。倉庫は高さ約22メートル、建築面積が約2万7千平方メートルと広いため、地上からは全体の情勢把握が困難だったという。
一方で、指揮本部に送信された映像が不鮮明になったり、予備バッテリーの数が不足し飛行回数が制限されたりする課題も生じた。地元消防からは「初めてだったので性能や特性が分からず消防活動に生かすのが難しかった」との声も出た。
操縦したさいたま市消防局警防課の大西俊哉消防司令補(42)は「目視が難しい地点に接近して詳細な映像を撮影できたのは、今後につながる成果だ。まだ発展途上の機材。技量や経験を積み、役立つ場面を増やしていきたい」と振り返った。〔共同〕