浅田真央さん「フィギュアは『人生』」 引退会見で感謝
フィギュアスケート女子の五輪銀メダリスト、浅田真央さん(26)は12日、東京都内のホテルで記者会見を開き、「選手生活を終える決断をしました。長い選手生活、たくさん山があった。乗り越えられたのは支えてくれた方やファンの応援があったから」と述べ、現役引退の意向を改めて表明した。
浅田さんはこの日午前11時34分、白いジャケットに黒いスカート姿で登壇。髪を後ろで結び、少し緊張した表情で一礼したが、その後は時折笑顔を浮かべながら質問に答えていた。
会見で、浅田さんは「練習するにつれ、試合に出るにつれ、(他の選手に)ついて行けるのかとの思いが出た。前よりつらいことが増えてきた」と説明。昨年12月の全日本選手権後に「もういいんじゃないかと思えた」と引退に至る心境を明かし、「(現役復帰に)挑戦してみて、全部やりきったので悔いはない」と言い切った。
最も印象に残った演技は2014年ソチ五輪のフリー演技をあげ「気持ちを出し切った。あれだけの挽回が五輪でできた」と胸を張った。
フィギュアスケートの存在は「本当に私の人生」と断言。代名詞の3回転半ジャンプ(トリプルアクセル)を巡っては、「自分の強さでもあったが、半面、悩まされることも多かった」と振り返り、「なんでもっと簡単に飛ばせてくれないのって感じです」と笑顔で答えた。
今後はアイスショーなどにプロスケーターとして出演する予定。多くのファンを魅了してきた「真央ちゃんスマイル」を浮かべながら、「若い選手が若いパワーでスケート界を引っ張ってほしい」と後進にもエールを送った。
終始、笑顔だった浅田さん。しかし会見を終える直前、報道陣に2度背を向けて、あふれ出しそうな涙をこらえた。「笑顔で新たな人生を見つけて前に進んでいきたいと思っています」と気持ちを新たにした。
この日の記者会見には海外メディアも含めた数百人の報道陣が集まり、注目の高さをうかがわせた。
浅田さんは10日夜、自身のブログで「フィギュアスケート選手として終える決断を致しました」などと引退を発表。代名詞の3回転半ジャンプ(トリプルアクセル)を武器にジュニア時代から活躍し、天真爛漫(らんまん)な性格で人気を集めた。
2006年トリノ五輪は年齢制限のために出場できず、10年バンクーバー五輪ではショートプログラム(SP)とフリーで女子では初となる計3回のトリプルアクセルを成功し、銀メダルを獲得した。14年ソチ五輪でもSP16位から、フリーで会心の演技をみせて6位入賞した。