田尻死刑囚の死刑執行 法務省、金田法相就任後で初
法務省は11日、熊本県で3人を殺傷し、現金を奪ったとして強盗殺人罪などで死刑が確定した田尻賢一死刑囚(45)=福岡拘置所=の死刑を執行したと発表した。死刑執行は今年3月以来約8カ月ぶりで、金田勝年法相の就任後は初めて。裁判員裁判で死刑判決を受けた死刑囚の執行としては、田尻死刑囚が2人目となる。
第2次安倍政権発足以降の死刑執行は計17人。法務省によると、11日時点の未執行の確定死刑囚は、再審開始決定を受けて釈放されている袴田巌さん(80)を除き128人となった。
日本弁護士連合会(日弁連)は先月開いた人権擁護大会で、2020年までの死刑制度廃止と終身刑の導入などを国に求める宣言を採択。組織として初めて廃止目標を打ち出しており、日弁連の中本和洋会長は同日、「今回の死刑執行に強く抗議する」との声明を発表した。
金田法相は同日の記者会見で「身勝手な理由から人命を奪った極めて残忍な事案。慎重な検討を加えた上で執行を命令した」と述べた。日弁連の死刑廃止宣言については、「死刑の存廃については様々な意見がある。凶悪犯罪が後を絶たない状況を鑑みれば、死刑を廃止するのは適当ではない」と話した。
同省などによると、田尻死刑囚は04年、熊本県宇土市の民家に押し入り、女性(当時49)を殺害し現金を強奪。11年には熊本市の民家で別の女性(当時65)を殺害し、夫にも重傷を負わせて現金を奪った。