サムスントップに実刑 韓国地裁判決、贈賄などで懲役5年
【ソウル=山田健一】韓国の前大統領、朴槿恵(パク・クネ)被告側への贈賄罪などに問われた国政介入事件で、ソウル中央地裁は25日、サムスングループを事実上率いる李在鎔(イ・ジェヨン=サムスン電子副会長)被告に懲役5年(求刑12年)の判決を言い渡した。贈賄や横領などの犯罪事実を認定した。韓国経済を支える最大財閥の創業家トップとして初めての実刑判決を受けた。(関連記事3面に)
李被告は、朴被告とその友人、崔順実(チェ・スンシル)被告に絡んで問われた5つの罪すべてで有罪になった。李被告が闘病中の父、李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長から経営権を継承するため、朴被告に便宜供与を求めて賄賂を渡したかが焦点だった。
裁判長は判決理由で、「李被告の経営権継承の過程で(大統領だった)朴被告の影響力に期待して、崔被告に資金を供与した」と指摘。朴被告と崔被告は共謀関係にあり、崔被告への資金提供は賄賂にあたるとも認定した。李被告の弁護団は25日、控訴する方針を明らかにした。
判決によると、李被告ら経営陣は、乗馬の韓国代表選手だった崔被告の娘の活動資金などとして、計89億ウォン(約8億6千万円)の賄賂を渡し、その過程でサムスングループの資金約80億ウォンを横領した。贈賄罪が認定されたことで収賄側とされる朴氏の公判に影響する可能性がある。
同地裁はサムスン元幹部の被告4人にも最大で懲役4年の有罪判決を言い渡した。
国政介入事件を受けて5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「財閥狙撃手」と呼ばれる大学教授を閣僚に任命し、財閥創業家の不正に厳しく対処する考え。株主総会で株主が創業家と距離をおく社外取締役を選びやすくなる仕組みの導入などを検討する。