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ベトナム首相「自由貿易、アジアが主導」

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第23回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)が5日午前、都内で開幕した。ベトナムのグエン・スアン・フック首相は「グローバル化は避けられない」と述べ、保護主義に対抗しアジアが自由貿易をけん引する意義を強調した。シンガポールのゴー・チョクトン前首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など多国間の枠組みが大切だと指摘。「日中が連携してアジアを導くことが重要だ」と話した。

フック氏はアジア域内が直面する課題として「テロや極端なナショナリズム、宗教対立、朝鮮半島でのミサイル発射実験」をあげた。北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験などの挑発行為がアジアの安全保障を脅かし、貿易や経済に悪影響を与えているとの認識を示した。

また、南シナ海で軍事拠点の開設を進める中国の動きなどを念頭に「海洋の安全や航行の自由、飛行の自由にとっての脅威だ」と指摘した。

トランプ米大統領の意向で米国が離脱を決めたTPPを巡っては、日本などが残り11カ国での早期発効を目指している。ベトナムも参加国のひとつだが、フック氏は講演後の質疑応答で「様々な選択肢を検討している」と述べるにとどめた。

フック氏に続いて登壇したゴー氏は「TPPは最も野心的で包括的な協定だ」と指摘。日本やシンガポールが他の参加国とともに、米国抜きでも発効を急ぐべきだとの期待を表明した。

TPPを促進する理由として「2カ国間交渉では大国が小国を圧倒する」と指摘。多国間での枠組みから離脱して2国間交渉を迫るトランプ氏の自国第一主義に対して懸念を示した。

一方、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加するRCEPについて「TPPとは競合しない」と強調した。その上で、将来的に中国がTPPに参加するのが望ましいとの考えも示した。

アジアでも脅威が増しているイスラム過激派によるテロについては「イスラム教徒を信頼し理解することがとても重要。社会の一員として受け入れなくてはいけない」と述べ、過激思想が広がらないようにすることが重要だと指摘した。

会議の冒頭で日本経済新聞社の岡田直敏社長は「貿易が世界経済をけん引する力が弱まっている。保護主義の高まりに対抗するために何をすべきか率直に意見交換してほしい」とあいさつした。

「アジアの未来」は6日まで開催する。今回のテーマは「岐路に立つグローバリズム―アジアはどう行動するか」。アジア各国の首脳や閣僚、学識経験者らが参加し、地域の安全保障や経済連携の強化について話し合う。

5日はこのほかラオスのトンルン・シスリット首相、インドネシアのユスフ・カラ副大統領らが講演や対談で登壇する。

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