米国株、ダウ反発し1048ドル高 米経済対策への期待で
【NQNニューヨーク=岩本貴子】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反発した。前日比1048ドル86セント(5.2%)高の2万1237ドル38セントで終えた。新型コロナウイルスによる景気下振れ懸念が強まる中、米政府が取りまとめる経済対策への期待から買われた。前日に3000ドル近く下げたこともあり、短期的な反発狙いの買いも入った。
ムニューシン米財務長官は17日の記者会見で「米国民に小切手を送るような施策を検討している」と述べた。個人や企業の税金の支払いの先送りなども含まれ、経済対策の規模は1兆ドルになるという。大型の経済対策が景気の一定の支えになると見方につながった。
米連邦準備理事会(FRB)は17日、企業が短期資金の調達に使うコマーシャルペーパー(CP)を買い入れる緊急措置を発動すると発表した。資金繰りが厳しくなった企業への支援を好感した買いも入った。
化学のダウが21%高と急騰した。経営トップが前日夕に中国需要の回復に言及した。ハイテク株に値ごろ感や割安感に着目した買いが入り、半導体のエヌビディアが11%高、ソフトウエアのマイクロソフトが8%高、ネット通販のアマゾン・ドット・コムが7%高と上げが目立った。アマゾンは通販の需要拡大に対応し、前日に10万人を新規採用すると発表したことも買い材料だった。
ダウ平均は朝方に300ドルあまり下げ、2万ドルを下回る場面もあった。米商務省が17日発表した2月の米小売売上高(季節調整済み)は前月比0.5%減だった。市場予測(0.1%増)を下回り、個人消費の先行き懸念が強まった。世界景気が後退入りするとの見方も広がっており、リスク資産である株式の売りにつながった。
世界で国境をまたぐ移動を制限する動きが広がっている。旅客需要の減少で、航空機のキャンセルが増えるとの見方から航空機のボーイングが連日の大幅安となった。映画館の営業停止を嫌気し、娯楽・映画大手のウォルト・ディズニーも下げた。外食のマクドナルドも安い。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比430.190ポイント(6.2%)高の7334.782で終えた。