米国株、ダウ反落し23ドル安 米中摩擦の長期化を警戒
【NQNニューヨーク=戸部実華】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に5営業日ぶりに反落し、前日比23ドル53セント(0.1%)安の2万7335ドル63セントで終えた。トランプ米大統領が「米中交渉の合意には時間がかかる」と述べ、貿易摩擦の長期化への懸念が強まった。ただ米国の早期の利下げ観測は相場を支え、ダウ平均は小幅に上げる場面もあり、方向感に欠ける展開だった。
トランプ氏は16日の閣僚会議で米中交渉について発言した。中国からの全輸入品に追加関税を課す可能性についても触れたという。6月下旬に米中が貿易協議再開で合意してから目立った進展がみられないなか、投資家心理の重荷となった。
米原油先物相場が下落し、エクソンモービルやシェブロンといった石油株の売りにつながった。決算説明会で医薬品事業の競争激化に言及し、業績下振れリスクが意識されたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が下げたのもダウ平均を押し下げた。ダウ平均は前日まで3日連続で過去最高値を更新しており、目先の利益を確定する売りも出やすかった。
もっとも、下値は限られた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が16日にパリで講演し「貿易情勢と世界景気を巡る不確実性が増している」と主張した。今月末にも利下げに踏み切る考えを改めて示唆し、金融緩和が相場を支えるとの見方が強まった。
16日朝に2019年4~6月期決算を発表した米金融大手のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが上昇したのもダウ平均を支えた。ともに売上高や1株利益が市場予想を上回った。
米主要企業の4~6月期決算の発表が今週から本格化している。内容を見極めたい投資家が多く、相場全体の方向感は見えなかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、35.388ポイント(0.4%)安の8222.797で終えた。マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなどの主力株のほか、半導体関連株の下げが指数の重荷だった。