米国株、ダウ582ドル安で3年4カ月ぶり低水準 経済対策の合意先送りで
【NQNニューヨーク=岩本貴子】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前週末比582ドル05セント(3.0%)安の1万8591ドル93セントで終えた。3年4カ月ぶりの低水準。新型コロナウイルスによる景気減速に対応するためトランプ政権が打ち出した経済対策について、野党・民主党の反対で議会と合意できなかった。政策実行に時間がかかるとの懸念から売られた。
ムニューシン財務長官は23日朝、経済対策について「合意は近い」と話していたが、物別れに終わった。民主党は独自案を検討しており、法案成立が遠のくとの見方につながった。
米国で住民の移動や事業を制限する州が増え、経済への悪影響が懸念されている。23日はミシガン州やマサチューセッツ州が州内の事業者に在宅勤務を命じた。前週のニューヨーク州やカリフォルニア州などに続く動きだ。ニューヨーク州知事の記者会見で感染者数が急増したと発表したことも投資家心理を冷やし、ダウ平均の下げ幅は一時960ドルに広がった。
米連邦準備理事会(FRB)は23日朝、国債などの購入額の目安をこれまでの7000億ドルから無制限に切り替えた。発表直後に株価指数先物が急速に買われたが、好反応は短時間で終わった。
航空機のボーイングが米ワシントン州の工場の操業を2週間停止すると発表し、同社にエンジンを供給する航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズが大幅に下げた。半面、ボーイングは大幅高。ゴールドマン・サックスが投資判断を引き上げ、好感された。
インスティネットが目標株価を引き下げたスマートフォンのアップルが安い。石油権益などへの投資縮小が伝わった石油のエクソンモービルも売られた。同業のシェブロンの下げも目立った。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前週末比18.843ポイント(0.3%)安の6860.674で終えた。