米国株、ダウ続伸し228ドル高 決算期待で最高値、小売株が高い
【NQNニューヨーク=森田理恵】12日の米株式相場は続伸した。ダウ工業株30種平均は、前日比228ドル46セント(0.9%)高の2万5803ドル19セントで終えた。上げ幅は2017年11月30日以来1カ月半ぶりの大きさだった。米主要企業の17年10~12月期決算への期待が幅広い銘柄の買いを誘った。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数、機関投資家の多くが運用指標に据えるS&P500種株価指数とあわせ、主要3指数が連日で過去最高値を更新した。
12日朝に米銀大手のJPモルガン・チェースや資産運用大手のブラック・ロックが四半期決算を発表し、米主要企業の決算発表が本格化した。ともに1株利益など主要項目が市場予想を上回り、米企業の業績拡大が続いているとの期待を誘った。投資家心理が強気に傾き、相場を押し上げた。
昨年末に税制改革が成立し、企業が四半期決算とともに強気の業績見通しを発表するとの思惑が米株式相場の先高観を強めている。税制改革が米景気のプラスになるとの見方も根強く、航空機のボーイングがこの日も大幅上昇。1銘柄でダウ平均を56ドル弱押し上げた。
力強い個人消費への期待感から小売株が買われたことも相場上昇に寄与した。全米小売業協会(NRF)が12日、昨年の年末商戦にあたる11~12月の小売売上高が前年同期比5.5%増え、想定(3.6~4.0%増)を大幅に上回ったと発表した。商務省発表の12月の小売売上高も4カ月連続で増加。消費の強さを好感し、百貨店のコールズやディスカウントストアのターゲットなど小売関連株が軒並み上げた。
ナスダック総合株価指数は、前日比49.285ポイント(0.7%)高い7261.062で終えた。アマゾン・ドット・コムが大幅に上昇し、初めて1300ドルを突破した。アップルやアルファベット(グーグル)、マイクロソフトなど主力株が総じて買われた。
フェイスブックは大幅安となり、4%超下げて取引を終えた。コンテンツの表示の仕方を改めると発表し、企業からの広告収入の減少を警戒した売りが膨らんだ。
業種別S&P500種株価指数は全11業種のうち「一般消費財・サービス」「エネルギー」「金融」など8種が上昇した。一方、「不動産」や「公益事業」は下落した。
ホームセンターのロウズは「物言う株主」の米ヘッジファンド、DEショーが株式を取得したと伝わり、取引終盤に買いの勢いが強まった。メディア大手バイアコムは同業であるCBSとの合併を模索しているとの報道を手掛かりに急伸した。ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスやアメリカン航空など、空運大手への買いが続いた。
ダウ平均の構成銘柄ではIT(情報技術)機器のシスコシステムズや製薬のメルク、映画・娯楽のウォルト・ディズニーの上げが目立った。
保険のアフラックが急落した。代理店の元従業員らが、会計の不正やインサイダー取引が横行していると告発したと伝わったのがきっかけ。アフラックは調査を進めていると発表した。ゲーム専門店のゲームストップも大幅に下げた。一部事業で3億5000万~4億ドルの減損費用を計上すると発表し、嫌気された。
アナリストによる投資判断の引き下げが伝わった写真・動画共有アプリのスナップも下げた。ダウ銘柄ではIBMやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が売られた。