松浦晃一郎(10)香港での情報収集
胡耀邦総書記の失脚を速報 ビザ免除協定へ政府内に根回し
1985年10月から88年7月まで約3年間、香港総領事を務めた。アジアで勤務したことがなかったので、強く希望してなった。当時の香港はまだ英国の統治下にあり、エドワード・ユード総督に信任状を奉呈した。
香港での仕事でいちばん重要なのは中国の動きを探ることだ。日中外交を担当するのは北京の大使館だが、表玄関から得られる情報には限りがある。総領事館には政務部があり、優秀な中国専門家がそろっていた。
当時...
第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。