松浦晃一郎(3)水泳に夢中
練習しすぎ 肺病で休学 空いた時間は読書に
1945年3月、山口県島地村での2度目の暮らしが始まった。5月になると、上空を米軍のB29が飛来するようになった。爆撃目標は海軍の徳山燃料廠(しょう)である。村は盆地だったので、じかには見えなかったが、夜になると、山の向こうの空が真っ赤に燃えていたのを覚えている。村の人も山に避難したが、私は「まさかこんな村は爆撃しないだろう」と思い、家に残ってB29で埋まった空を見上げていた。
天津に戻った父は...
第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。