松浦晃一郎(1)日本人トップゼロ
国際舞台で存在感希薄に 真の国際人を育てよう
昨年7月、悲しいできごとがあった。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が任期半ばで亡くなられたのだ。外務省の先輩として哀惜の念に堪えない。
惜しまれるのは、天野氏を失ったことだけではない。これでグローバルな国際機関をつかさどる日本人がゼロになった。国際機関のトップは世界を見回す立場であり、日本のためだけに行動するわけではない。とはいえ、国際機関に日本人トップがいるといないのでは全く違う。...
第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。