杉本博司(20)佐賀町で展覧会
小池一子さんから打診 NYメトロポリタンでも個展
1988年、小池一子さんから、東京で展覧会を開かないかという打診があった。小池さんは27年に建った廻米(かいまい)問屋市場のビルを改装して、現代美術のオルターナティブ・スペースである展覧会場「佐賀町エキジビット・スペース」を運営していた。もともと米の競り場だったこの空間は、天井高5メートルの大きな空間で、半ば廃虚化したような建物は風情があり、夕暮れ時には中庭をコウモリが飛び交っていた。
私はここ...
大判カメラで撮影したモノクロ写真で知られる杉本博司さんは、国際的に高く評価されている現代美術作家です。大学卒業後にニューヨークで革新的な芸術の息吹に触れるや、抜群の度胸と才能でアートシーンの寵児(ちょうじ)となりました。大胆な行動力と芸術に対する深い愛で切り開いていった人生をたどります。