展示場、世界の玄関に直結 アイチ・スカイ・エキスポ(愛知県常滑市)
おもてなし 魅せどころ
愛知県常滑市の中部空港島に8月、県の国際展示場「アイチ・スカイ・エキスポ」が開業した。国際空港直結というアクセスの良さに加え、外国からの展示物に関税などを課さず、簡易な手続きで展示できる。国内唯一の保税展示場を、県は愛知の新たな顔として、利用を呼びかけている。
「愛知から日本の新しい展示会産業のスタイルを創出、発信していく」。大村秀章知事は8月30日に開かれた開業イベントで宣言した。会場には海外の取材記者の姿も目立ち関心の高さをうかがわせた。展示場内外に県内の物産品などを紹介するブースが並んだほか、自動運転車の実証実験もあり、来場者が乗車したりしていた。
同展示場の敷地面積(駐車場など含む)は約28万7000平方メートルで、東京ビッグサイト(東京・江東)や幕張メッセ(千葉市)など他の大型展示場と匹敵する広さだ。
それぞれ1万平方メートルの展示ホールが6つあり、ライブなど大型イベント用の「展示ホールA」は約6500人を収容できる。他の5つのホールは仕切りを取り払うことで最大5万平方メートルのスペースを利用できる。30~800平方メートルの広さの会議室も18室あり、10~400人までの会議やパーティーなどに対応する。
展示場内は次世代通信規格「5G」などの最新技術を取り入れており、展示に活用できる点も利点だ。屋外の多目的利用地(約4万平方メートル)は野外コンサートや試乗会などに活用できる。来場者向けに約3450台分の駐車場もある。来場した県内在住の60代男性は「広いだけでなく機能性が高い。企業の製品展示会から音楽ライブまで幅広く活用できそうだ」と話した。
展示場は県が2017年9月に着工し、約350億円で整備した。民間に運営権を売却するコンセッション方式を採用し、運営は施設運営を手掛けるGLイベンツ社や前田建設工業が設立した特別目的会社「愛知国際会議展示場」が手掛ける。
同展示場は19、20年の技能五輪全国大会・全国アビリンピック、20年のワールドロボットサミットの会場にすることが決まった。モルガン・ショドゥレール社長は8月の開業イベントで「愛知は、企業間取引のイベント誘致には一番強い」との見方を示した。県は経済活性化の起爆剤とするため、国内外に積極的に利用を呼びかける意向だ。
(名古屋支社 小野沢健一)
[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年10月14日付]