絵師が描いた囲碁将棋(9) 歌川国芳「駒くらべ将棋のたはむれ」(部分)
大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員 古作登
将棋の駒を武将になぞらえ擬人化した浮世絵はいくつかある。戯画を得意とする歌川国芳は駒を兜(かぶと)にして人物の顔を描き、さらにその盤上世界を「ガリバー旅行記」(ジョナサン・スウィフト著)の巨人のように実際の人間が操る構図の作品を残している。
上の絵にある「桂馬の天秤(てんびん)」は「桂馬のふんどし」とも呼ばれる初級者も好む手筋だ。将棋用語は川柳や地口にもなり、庶民の遊戯として普及した江戸時代から...