絵師が描いた囲碁将棋(2) 歌川国芳「駒くらべ盤上太平棊」(部分)
大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員 古作登
将棋は平安時代から公家や僧侶の間で指されてきたことが「新猿楽記」や「明月記」といった文学作品、日記などからわかっている。同じ盤上遊戯でも、囲碁に比べルールがシンプルで対局時間も短いため、室町時代以降は下級武士の間にも次第に広まり、江戸時代に入ると庶民の間で流行した。
将棋の駒はそのルーツとされる古代インドの遊戯「チャトランガ」の時代から王とその配下の兵の種類(騎馬、象、戦車など)を模したものであ...