絵師が描いた囲碁将棋(1) 三代歌川豊国「琴棊書画」(部分)
大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員 古作登
囲碁将棋は遊戯でありながら、生死を賭するような厳しさがある。盤上で繰り広げられる真剣勝負は、絵師たちの筆を触発した。
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「琴棊書画(きんきしょが)」という言葉の「琴」は古琴(音楽)、「棊(き)」は囲碁、「書」は書道、「画」は絵画を意味し、古代から近世にかけ知識人のたしなむべき技芸として、現在でも用いられている。この言葉が登場したのは中国・唐代である。
唐の2代皇帝太宗は書聖・王羲之の墨跡を収集し...