みづゑのかがやき十選(7) 岸田劉生「麗子微笑之立像」
茨城県近代美術館美術課長 山口和子
明治の水彩画ブームは大正期に入ると衰退していく。大正2年(1913年)に日本水彩画会が創設されたり、水彩画家として活躍する若手も登場したりはするものの、いわゆる水彩画界としては全般的な不振に陥っていた。
その一方「大正期の個性派」といわれる画家たちが、水彩画にも秀作を残していることは注目される。彼らは自己の造形を追究していく中、油彩・水彩それぞれの特性を生かして作品を描いた。岸田劉生もそのひとり...
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