乱れる筆跡 悲痛の情伝える
「顔真卿」展
書の古典を取り上げる展覧会を見ると、書の変遷の長い歴史をいつも似たような構成で伝えていると感じることが多い。
東京・上野の東京国立博物館で開催中の「顔真卿」展を見て、そんな印象が、随分変わった。唐王朝を揺るがす戦乱を生きたこの顔真卿(がんしんけい)(709~85年)が、強烈な個性の持ち主で、それをよく伝える真筆が、日本で初公開されたためである。
むろん、今展も書体や書の変遷の歴史を、おざなりにし...
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